悪あがきブログ。

ママで妻で“働く”女のつれづれ日記。

ちまみれのばとん。

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猛暑の中、あちこちでデモが盛り上がっているようですね。

こんな風景、今まで見ることなかったよなぁ。

政治に関することは、ここには書かないようにしてる。
でもそれは関心がないのではなく、言いたいことがありすぎてとても書ききれないから。
一度書き出したら暴走しそう。
副題は〜憂国〜とかになるんだろか(苦笑)



子供の絵本で溢れ返る棚の中に、1冊の写真絵本がある。
数年前に友人がプレゼントしてくれた、
『手から手へ』。

初めて読んだ時は、ほっこりじんわり「素敵な詩と写真だなぁ〜」と思う程度だったけど、
最近なにげなく読み返したら、涙をこらえるのが大変なほど胸に迫る。
何度読んでも、そう。

あぁ、二人も子供産んだから感情移入するのかな、はたまた産後ホルモンの影響で涙もろくなってるのかな、
なんて思ってた。

で、義母に
「この本すごく素敵なんですよ」
ってオススメして読んでもらったら、
こんな感想が。

「なんだか今このご時世で読むから、余計に感動するねぇ」
って。

ハッとした。
それでもう一度読んでみたら、涙を禁じ得ない理由がわかった。
私はたぶん、この作品で言う
“ちまみれのばとん”
“やさしさ”
が近い将来破壊されてしまうんじゃないかと不安なんだ。

70年続いてきたものの根っこは、この詩のような、ささやかだけど無数の、静かだけどとても強くて愛に溢れた祈りなんだろう。

大切なことを間違えないように、間違えないように、でも自分の力の及ばない所で間違えられてしまったら・・・
不安だ。恐ろしい。

今はできることを淡々としようと思う。

もうすぐ8月6日。


少し長くなるけど、全文掲載します。
これからの難しい時代を生き抜く人たちへのエールにも読める。
Mちゃん、この本くれてありがとう。

・・・・・・・・・・・・・・

『手から手へ』

やさしいちちと
やさしいははとのあいだにうまれた
おまえたちは
やさしい子だから
おまえたちは
不幸な生を歩むのだろう

どんなにやさしいちちははも
おまえたちと一緒に行けない
どこかへ
やがてはかえるのだから

やがてはかえってしまうのだから
たすけてやれない
なにひとつ
たすけてやれない

そこからは
たったひとり

まだあどけないえがおにむかって
やさしいちちと
やさしいははとは
うちあけようもないのだけれど

いまはにおやかなその頬が痩け
その澄んだ瞳の凍りつく日がおとずれても
怯んではならぬ
悔いてはならぬ
憎んではならぬ

やさしい子らよ
おぼえておおき
やさしさは
このちちよりも
このははよりもとおくから
受け継がれてきた
ちまみれのばとんなのだから
てわたすときがくるまでは
けっしててばなしてはならぬ

まだあどけないえがおにむかって
うちあけようもないのだけれど
やさしいちちと
やさしいははとがちをわけた
やさしい子らよ
おぼえておおき

やさしさを捨てたくなったり
どこかへ置いて行きたくなったり
またそうしなければあゆめないほど
そのやさしさがおもたくなったら
そのやさしさがくるしくなったら

そんなときには
ひかりのほうをむいていよ
いないいないばあ

おまえたちを
こころゆくまでえがおでいさせた
ひかりのほうをむいていよ

このちちよりも
このははよりもとおくから
刺し込んでくる
一条の
ひかりから眼をそむけずにいよ

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